電気を通すプラスチック -
電気が流れる仕組み
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ポリアセチレンの写真を見ると、アルミ箔みたいにきらきらしていることが分かります。 金属のように輝いていることから、電気を流しやすいように思われるかもしれません。
ところが、このポリアセチレンはこのままでは電気の良導体ではありません。 と言ってもまったく流さないわけではなく、高分子半導体と呼ばれるグループに含まれます。
このポリアセチレンをどのようにして電気の良導体にしたのかの説明のために、金属を題材に電気が流れる仕組みについてお話しましょう。
まず、
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に原子がくっついて分子になる話をしました。
分子の結合の時は、電子を1個ずつ持ち寄って2個セットにして結合しました。 これを共有結合と呼んでいます。電子を共有して結合するということです。この結果、分子には形があります。 結合の手を全部使えば、もうこれ以上他の原子は結合できません。例えば、水素原子2つで水素分子、酸素原子2つで酸素分子、となります。
ところが、金属の場合は分子とは少し違う結合をします。この結合によって、金属は電気の良導体となります。この結合のことを金属結合といいます。
金属結合のイメージは、多くの原子が"ぐしゃっ"って集まっている感じです。
そして、それぞれの金属原子から、1個か場合によっては数個の電子がふらふら出歩いてしまいます。
このふらふらした電子は、あっちの原子、こっちの原子って動き回ります。
この電子の事を自由電子って呼んでいます。自由に動き回れる電子という意味でしょう。
多くの原子の間を自由電子が動き回っているということは、原子同士が自由電子をやり取りしていることになります。 自由電子の立場からすれば、自由電子があっちの原子、こっちの原子って動き回る事でそれぞれの原子を近づけている事になります。 これが金属の結合の仕方なのです。
この自由電子のおかげで金属の性質がどんどん出て来ます。
例えば、自由電子によってぐしゃっとくっついているわけだから、叩けば広がる(展性)、引っ張れば伸びる(延性)、 外部の光を自由電子がはじき返すからきらきら光る(金属光沢)、 熱をもった自由電子が活発に動くから金属全体で熱を伝えやすい、といった金属共通の性質です。
そして、この自由電子が電気を伝えるのです。
そもそも電気が流れるということは、電子が一定の向きに動くことです。
だから、金属の両端に電池をつないで、電圧をかけてやると、一斉に自由電子が電池のプラス極に向かって動き出します (電子はマイナスの電気を帯びていますので)。これを電気が流れたといいます。
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