電気を通すプラスチック - ポリアセチレンってどんなもの?


FLASH版の説明を見る

白川博士が用いたプラスチックはポリアセチレンという物質です。
ポリアセチレンはアセチレンを重合させたものです。まずは、アセチレンについてお話しましょう。

アセチレンは、無色無臭の気体です。燃えたり、爆発したりしやすい物質です。
アセチレン分子は炭素原子2個と水素原子2個からできています。分子式はC2H2です。


実は、この分子は、実は非常に面白い構造をしています。
構造の面白さを理解してもらうために、パズルをしてもらいましょう。

パズルの条件は次の4つです。
  1. 炭素原子は結合の手を4本もっている。
  2. 水素原子は結合の手を1本もっている。
  3. 結合の手は、必ず他の原子とつながなくてはならない。
  4. 結合の手は、余ってはならない。
では、炭素原子2個と水素原子2個をきちんとつないでみよう。


この結合の手一本は、一般的に電子を1個表しています。
電子は2個セットになると安定になるので、お互いの手をつないで、 電子2個のセットにすることによって安定するのです。この結果として原子同士が結合したことになります。

このように3本の結合が同じ原子間にできているのを三重結合と呼びます。
本来1組の手だけで結合できるのに、3組もあるのです。 だから、この余分に結合した手は非常に反応性が高く、他の原子と結合し直しやすい特徴があります。

例えば、このような反応が起きます。


絵で見たように、三重結合のうち1組の手が切れて、隣のアセチレン分子と結合します。 そして、この隣のアセチレン分子は、余った1本の手で、また隣のアセチレン分子と結合します。

このように反応が連鎖的に起こって、長い分子が出来ることを重合といいます。
そして、出来上がった分子を高分子と呼びます。


アセチレンが重合してできた高分子をポリアセチレンと呼びます。

アセチレンがどんどん結合してポリアセチレンになると、地球上からアセチレンがなくなってしまうと思われるかもしれません。

実は、化学反応が起こるためには、温度や圧力などの条件が必要になり、普通の状態ではアセチレンは重合できません。
重合させるには、特殊な触媒が必要になります。

触媒とは、一般に化学反応を引き起こすきっかけになる物質を言います。
この触媒自身は化学反応の前後で変化せず、この触媒が入ったおかげで化学反応が飛躍的に進むという特徴があります。

BACK ▲ 身近な導電性高分子
NEXT ▼ ポリアセチレンの膜の合成



Copyright 2000 e-Science All rigits reserved