電気を通すプラスチック -
ポリアセチレンの膜の合成
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ポリアセチレンを合成するための触媒は、チーグラー・ナッタ型触媒といいます。 この触媒を使って、白川博士ははポリアセチレンの膜を合成したのですが、これは簡単なことではありませんでした。
通常の条件下で、この触媒を使ってポリアセチレンを合成すると、黒い粉末状になってしまいます。
この粉末は、不溶(溶媒に溶けない)、不融(加熱しても融けない)なので、使用目的に応じて成型加工することが不可能です。
つまり、膜を合成することは非常に困難なのです。
ところが、膜を合成する方法は、ひょんなことから発見されました。
通常より1000倍濃い触媒を使ってしまったという、実験ミスから発見されたのです。
触媒溶液の表面に、黒っぽい物質ができていたのです。
偶然出来上がった物質は、見るからにいつものものとは違っていたので、 普通だと「ごみができちゃった」と思って捨てかねないものです。 それを「何だろう?」と思って、詳しく調べたことが、大発見の第一番の要因でしょう。
調べた結果、これはポリアセチレン膜であることが確認されました。
そこで、実験メモを再検討したところ、触媒濃度が1000倍濃い数字が書いてあり、 実際にもう1回1000倍濃い触媒で実験してみたら同じように再現されたため、ポリアセチレン膜の合成方法が見つかったというわけです。
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