電気を通すプラスチック -
電気を流すポリアセチレン
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金属がきらきら光るのは自由電子のせいだといいましたが、ポリアセチレンの膜もきらきら光っています。 これも自由電子のせいかと思われるかもしれません。しかし、これは違います。金属ではないので自由電子はありません。
もう一度、ポリアセチレンの構造を見てみましょう。
何か気づきませんか?
そうです。結合の手が二重になっているのとなっていないのが交互にあります。
結合の手が二重になっているところは、一本は必要な結合ですけど、もう一本は、本来余計な結合でしたね。
ここで、電子の様子が分かるような絵を見てみましょう。
何か気づきませんか?
そうです。全部の原子に余計な電子があります。
結合を線で書いていたら、一重線と二重線が交互にあるように見えたけど、電子で見たら、全部同じなのです。 つまり、余っている電子が全部つながっているのです。
ということは、電子の通路ができていることにないりますね。
この電子が動けば電気が流れることになります。
そこで、ポリアセチレンは電気が流れるだろうと思ったのですが、実際はうまくいきませんでした。
電子の通路があって、余分な電子があるのに、なぜ電気は流れないのでしょうか?
少し難しい話になるんだけど、金属は電子が動ける隙間があるのです。一方、絶縁体や半導体は電子がぎっしり詰まっていて、隙間がないのです。
だから、電子を少し抜いてやればいいんじゃないか、と考えたわけです。
ヨウ素のように、電子を引っ張りやすいものを入れることによって、ポリアセチレンの電子に隙間を作ろうとしたのです。 このように、他の物質を微量加えて、性質を変化させる方法を化学ドーピングといいます。
この方法が大成功し、最終的に電気を通す能力(電気伝導度)100000000000倍にまでなりました。
(補足)上記の説明は、イメージを伝えるためにかなり易しくしています。 もっと詳しく知りたい人のために、多少難し目ですが以下に補足しておきます。
電気が流れるということは、電荷が一定方向に移動する事を意味します。 この電荷を担っている担体をキャリアーといいます。
代表的なものとして、マイナスの電荷をもっている電子、プラスの電荷をもっている正孔(ホール)があります。 正孔(ホール)とは、電子が欠損することによってあたかもプラスの電荷があるかのように見えるものです。
上記の説明では、電子を引き抜くことによって正孔(ホール)をつくって、これがキャリアーになったと理解してもらって構いません。 上記の説明には書きませんでしたが、ドーピングによって電子を加えても、導電性がアップします。 この場合は電子を過剰にすることで、その電子をキャリアーとしているのです。
ただし、どちらかといえば電子を引き抜くタイプのドーピングを行ったほうが結果として良かったそうです。 こちらの方が実験操作も容易だそうです。
また、一本のポリアセチレンの分子が端から端までつながっていることはありえません。 上記の説明では一本のポリアセチレンの分子の中で電荷が移動することだけに着目していますが、 ポリアセチレン鎖から別のポリアセチレン鎖に電荷が移動することも電気を流すプロセスに含まれます。 この点については、結果的に「移動するんだな」という程度の理解で構いません。
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