10月11日 白川英樹 筑波大学名誉教授 ノーベル化学賞受賞
「伝導性ポリマーの発見と開発」の業績で,Dr. Heeger (Prof. of physics at the University of California, Santa Barbara), Dr. MacDiarmid (Prof. of chemistry at the University of Pennsylvania)とノーベル化学賞を共同受賞しました.
皆さんは、ダイナマイトを知っていますか?おそらく見たことがある人はほとんどいないでしょう。 しかし、漫画等で爆発物と言えば、多くは“ダイナマイト”が描かれているので馴染があるのではないでしょうか。 このダイナマイトを発明したのがこの賞の創設者スウェーデン人のアルフレッド・ベルナルド・ノーベル(1833〜96)さんなのです。
ダイナマイトとは、人類にとって大きな発明でした。
爆薬というものは、本来爆発しやすい物質です。あまりにも爆発しやすいために、利用しにくいものでもあります。 まず第一に持ち運びが困難です。振動、衝撃、熱で簡単に爆発してしまうため、怖くて持ち運べません。 ノーベルさんは、ニトログリセリンという非常に爆発しやすい物質をケイソウ土に染み込ませる事で、 持ち運びの最中に爆発しにくくすることに成功しました。これをダイナマイトと名づけました。
ダイナマイトを用いることで、トンネル工事等を大規模に、早く、安心してできるようになりました。
このダイナマイトの発明により、ノーベルさんは莫大な財産を築きました。 これは、彼の発明が社会の発展に大きく役立ったことによります。彼は多くの会社を経営したことでも有名です。
ところが、ダイナマイトのような強力な爆薬が持ち運び可能になると、この爆薬を良くない目的で使うことになりました。
戦争です。大量殺戮の道具として使われる事になったことをノーベルさんは深く悲しみました。
この悲しみがもとで、ノーベルさんは遺言でこのように記しました。 「基金を設立し、その利子を毎年、その前年に人類のためにもっとも貢献をした人に賞として与えるものとする。」、 「この利子は5等分して、物理学の分野で最も重要な発見ないし発明をした人(物理学賞)、 化学の分野でもっとも重要な発見ないし発明をした人(化学賞)、生理学ないし医学の分野で最も重要な発見をした人(生理学・医学賞)、 文学の分野で理想主義的な最もすぐれた作品を生み出した人(文学賞)、 国家間の友好と軍隊の廃止ないし削減と平和会議の開催ないし推進の為にもっとも尽くした人(平和賞)に与える。」
この遺言をもとに財団が作られ、1901年からノーベル賞が与えられるようになりました。なお、1969年よりノーベル経済学賞が新設され、 現在では6部門になっています。
誰にノーベル賞を与えるかは、1年も前から調査をしています。ノーベル委員会が全世界の主要大学等機関と専門家に極秘に他薦を依頼します。 送られてきた被推薦者と、委員会が独自の判断で選んだ人とで、ノーベル賞受賞候補者リストが作成されます。そこから受賞者が選考されます。 ただし、ノーベルさんの遺言「賞の選考に当っては、国籍はいっさい考慮せず、最もふさわしい人を選ばなければならない」に従って選ばれます。 また、どんな人が候補になったのかは、50年間は秘密にされています。
日本人受賞者はは、1949年に湯川秀樹さん(物理学賞)、1965年に朝永振一郎さん(物理学賞)、1968年に川端康成さん(文学賞)、 1973年に
江崎玲於奈
さん(物理学賞)、1974年に佐藤栄作さん(平和賞)、1981年に福井謙一さん(化学賞)、 1987年に利根川進さん(生理学・医学賞)、1994年に大江健三郎さん(文学賞)、そして今回2000年に白川英樹さん(化学賞)となっています。
受賞者の発表は毎年10月中旬に順順に行なわれます。授賞式はノーベルの命日12月10日にストックホルムのコンサートホールで スウェーデン国王臨席のもとに行なわれ、受賞者は授賞式で金メダルと賞状、賞金の小切手を受け取ります。 平和賞の受賞式は同日オスロのオスロ大学講堂で行なわれます。授賞式に引き続いてシティホールで晩餐会と舞踏会が催され、 晩餐会では受賞者が3分間のスピーチを行ないます。
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