10月8日、スウェーデン王立科学アカデミーは、2002年ノーベル物理学受賞者を発表した。受賞者は東京大学名誉教授の小柴昌俊氏を含めた3人(レイモンド・デイヴィス・ジュニア氏とリカルド・ジャコーニ氏と同時受賞)。
小柴氏は、以下の2つの業績を評価され、受賞に至った。一つには、同時受賞のレイモンド・デイビス・ジュニア氏によって証明された実験結果―核融合が太陽のエネルギー源である―を確認したこと。
もう一つには、1987年に超新星爆発によって生じたニュートリノの検出に成功したこと。
両氏は、ニュートリノ天文学という新しい研究分野を切り開いたパイオニア的存在である。
素粒子物理学などの分野で国際的に高い評価を受けている高エネルギー加速器研究機構(通称KEK)では、
中村健蔵教授(高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所物理第三研究系研究主幹)が、
小柴先生の受賞に関してのコメントを発表した。小柴氏の受賞に関しての感想を求められて、中村氏は開口一番、
「もっと早く受賞されてしかるべきだった。むしろ遅すぎたという感がある。」と述べた。小柴氏の人柄を聞かれて、
「話が面白く、酒が好きだった。飲むとその場にそのままごろんと寝てしまわれることもあった」とのエピソードも。
「研究に関しては、本当に真摯な姿勢で取り組んでおられた。学問に対する厳しさは並々ならぬ熱意があり、
正確性だけでなく、新しいアイデアや独創性を強く求められる方」など、小柴氏にまつわる談話の数々を披露した。
ノーベル物理学賞の受賞は、江崎玲於奈氏以来29年ぶり。これで、日本人のノーベル賞受賞者は11人となり、
一昨年の白川英樹筑波大名誉教授(化学賞)、昨年の野依良治名古屋大教授(同じく化学賞)に引き続き
3年連続。 今後、ますます多くの日本人研究者がノーベル賞を受賞されることを期待します。
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