No.108
絶対零度で固体結晶の結合性が転換する有機物質を開発
出所トップ 独立行政法人産業技術総合研究所
出所ページ ここに掲載されております
概要  独立行政法人 産業技術総合研究所強相関電子技術研究センターは、一つの物質で分子結晶(中性)とイオン結晶(イオン性)との間を相互転換(相転移。二つの秩序の異なる状態間を行き来する現象。)できる有機結晶を開発した。この相互転換の検証は、絶対零度で分子結晶とイオン結晶両者の間を量子力学的に混ざり合う状態(量子相転移)を初めて実現し、これを光学スペクトル測定により観測することで行った。  今回の研究成果は、結晶の結合性の転換に基づく新たな新機能探索や、応用への展開に向けた今後の研究の重要な一歩となると期待される。
おすすめ  相転移とは、物質がある一つの相から別の相に変化する現象で、例としては氷(固相)→水(液相)→水蒸気(気相)などが挙げられます。

No.107
紫外線を室温レベルで出せる新物質の合成に成功
出所トップ 独立行政法人物質材料研究機構
出所ページ ここに掲載されております
概要  独立行政法人物質材料研究機構は、このたびレーザーとプラズマを複合化した新しい合成プロセスにより、225nm(ナノメートル。1nmは10億分の1mm)という短波長紫外領域において室温で発光する新型の窒化ホウ素(BN)の合成に成功した。次期光ディスクにも使われる青色レーザー開発の次のターゲットは紫外線にあるともいわれる。今回の研究成果で、室温連続発振紫外光レーザーの材料や、高温・放射線環境下などで役立つ電子材料としての実用化が期待できる。今後、実用化されれば超高密度光記録等の光エレクトロニクスへの応用や、超微細光レーザー・メス開発によるナノ医療など、産業・医療・技術・科学のあらゆる面においての応用が期待される。
おすすめ  ナノメートルとは日常では使われない単位だよね。原子や分子レベルの大きさを表すのに便利な単位だね。1ナノメートルは地球に対してビー玉に匹敵する小ささで、タバコの煙粒子の直径が10〜150nmなんだよ。

No.106
環境ホルモンの新たな計測手法の開発
出所トップ 独立行政法人国立環境研究所
出所ページ ここに掲載されております
概要  独立行政法人国立環境研究所は湖沼、河川、海域等の環境媒体中のホルモン作用の有無の確認とその原因物質の究明に向け、環境媒体に適用可能なホルモン活性のスクリーニング手法と化学物質の高感度分析法を開発した。これを応用して霞ヶ浦、東京湾、多摩川を事例として、環境媒体のホルモン作用の実態を把握する研究を行った。具体的な研究成果として、エストロゲン作用を有する物質の高感度分析法を開発すると共に、酵母を使った迅速なエストロゲンのスクリーニングシステムを構築した。この研究成果により、環境ホルモンの実態の解明や、生態系へ及ぼす影響についての解明の糸口となるということである。
おすすめ  環境ホルモンは「内分泌かく乱化学物質」とも呼ばれ、「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」では、"動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれている正常ホルモンの作用に影響を与える外因性の物質"とされています。疑いのある化学物質として、65物質があげられています。

No.105
日米間で超大規模データの処理に成功
出所トップ 独立行政法人産業技術総合研究所
出所ページ ここに掲載されております
概要  独立行政法人産業技術総合研究所グリッド研究センターは、日米の6研究機関(独立行政法人産業技術総合研究所、高エネルギー加速器研究機構、東京工業大学、東京大学、米国インディアナ大学、米国サンディエゴ・スーパーコンピュータ・センター)の協力の下、利用するネットワークとして、つくばWAN、APAN、MAFFINのサポートを得て、7拠点に配置された計190台のパソコンからなる7システムをグリッドデータファームにより統合し、18TB(テラバイト:1TBは1兆文字、18TBはCD 3万枚相当)の大容量データを高速処理できる環境をつくることに世界で初めて成功したものです。さらに、拠点間の高速データ複製により1万km離れた日米間で707Mbps(毎秒8838万文字、CD 1枚分のデータを5.7秒で転送できる速度)のデータ転送速度を初めて達成しました。今回の研究成果により、超大規模データセンターの実現や、国際的な共同実験の超大規模データ解析の実現にむけて大きな一歩を踏み出しました。
おすすめ  グリッドとは、"power grid"(高圧線送電網)から来た言葉であり、地理的に分散したコンピュータを組み合わせることで、その処理能力を、あたかも電気のようにその発生場所を気にせずに使用できるようにしようという発想から来ています。グリッドデータファームは、TBあるいはPB(ペタバイト:TBの1000倍)規模の超大規模データに対する高速処理を、多くの人々が安全に共有することを目指したグリッド技術です。

No.104
異常プリオン蛋白質の機能を停止させる新規酵素の発見
出所トップ 独立行政法人農業技術研究機構衛生研究所
出所ページ ここに掲載されております
概要  独立行政法人農業技術研究機構衛生研究所と明治製菓株式会社の共同研究グループはBSE、いわゆる狂牛病などの原因物質とされている異常プリオン蛋白質を協力に不活化する新規酵素を発見した。当該蛋白質を強力に分解するバチルス(Bacillus)属の菌株を1株見出し、さらに、本菌株が生産する酵素(ケラチナーゼ、プロテアーゼの一種)の酵素化学的特性を明らかにした。異常プリオン蛋白質に汚染された可能性のある器具(畜産分野における屠殺用器具、医療分野における手術用器具など)を容易に洗浄して感染を防止することができ、実用化に向けさらに研究を進める。
おすすめ  異常プリオン蛋白質は、熱に極めて安定であり通常の殺菌処理では働きを失わせることができず、かつ通常の蛋白質分解酵素に対しても極めて安定です。今回の研究成果は、異常プリオン蛋白質以外にも適応可能であり、現在、難分解性である処理が課題となっている羽毛等についても、それらを効率的に分解することにより、家畜飼料への応用および有価物回収などの多目的利用の実現が可能となります。

No.103
サブミクロンスケールでの分析が可能な波長分散型EPMAの開発に成功
出所トップ 独立行政法人物質・材料研究機構
出所ページ ここに掲載されております
概要  独立行政法人物質・材料研究機構は、民間会社と共同で、サブミクロン領域での分析が可能となる波長分散型EPMA(電子線マイクロアナライザ)の実用化に世界で初めて成功した。これまでの波長分散型EPMAは、空間分解能が数μm程度の領域が限界であり、近年の材料開発で行われているサブミクロンスケールでの分析は不可能であった。しかし今回の開発で、排気系の構造を工夫する事により、フィールド・エミッション電子銃の搭載を可能とした波長分散型EPMAを実現したことで、今後は更に微小領域での分析も可能となる
おすすめ  EPMA(電子線マイクロアナライザ)とは、細く絞った高エネルギーの電子線を試料に照射して、試料から発生する各種信号(二次電子、反射電子、特性X線など)を検出し分析する機器です。 信号によって得られる情報に違いはありますが、ある微小領域に含まれる元素の種類及びその濃度を調べるためには、特性X線を用います。材料開発に限らず、科学技術の進歩のためには、分析機器の発展が必要不可欠です。

No.102
シリコン酸化膜を低温プロセスにて作製
出所トップ 独立行政法人 産業技術総合研究所
出所ページ ここに掲載されております
概要  独立行政法人産業技術総合研究所は、民間会社と共同で、シリコン酸化膜の作製を従来の作製温度よりも、500℃近く低減化させることに成功した。そのシリコン酸化膜の性能は、従来の作製法によるものと性能を比較しても遜色なく、今後、半導体デバイス製造における低温酸化プロセスの実現に貢献すると期待される。
おすすめ  液晶パネルに使われるガラス基板は、高温プロセスに耐えられないので、低温でかつ高品質な酸化膜を作製出来る技術が望まれているそうです。今回の技術開発は、そのような所にも応用が期待されますね。他にもフラッシュメモリーやナノテクの基板材料にも、このような技術が応用出来るそうです。

No.101
つくば情報
K2K実験 中間結果発表
出所トップ高エネルギー加速器研究機構
出所ページここに掲載されております
概要 高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)で人工的に発生させたミューニュートリノを、250km離れらスーパーカミオカンデ(岐阜県神岡町)で観測する長基線ニュートリノ振動実験(K2K実験)で、得られた測定データを分析した結果を、東京大学宇宙線研究所と高エネルギー加速器研究機構が発表した。99%以上の確立で、ニュートリノ振動が発生しているという。この発見は、ニュートリノに微小な質量があることを意味している。
おすすめ 現在の素粒子の標準理論では、ニュートリノの質量はゼロと考えられており、今回の結果により、新しい素粒子理論の構築が必要になります。引用先には、実験の方法も簡単に掲載されており、自然に発生している大気ニュートリノと、人工ニュートリノを区別する方法も紹介されています。





Copyright 2000-2002 e-science All Rights Reserved.